映画「平成狸合戦ぽんぽこ」は、高畑勲監督が手がけた作品ですが、ジブリ作品では、宮崎駿以外の監督による作品の中では唯一の監督原作作品で話題になりました。
その中で、登場する狸たちが食べているハンバーガーがなぜマクドナルドのものなのかと、サラリーマン扮する狸たちが飲んでいる栄養ドリンクについて深堀します。
マクドナルドのハンバーガー
平成狸合戦ぽんぽこはこっちだった!!
ジブリアニメだけどマイナーで中身をイマイチ覚えていない^^;
主人公が狸だから!?pic.twitter.com/cFCmjUEuA0— 懐かしレトロネタ倉庫 (@tamashiineta) March 20, 2019
映画「平成狸合戦ぽんぽこ」は、昭和40年代、多くの狸たちが楽しく暮らしていた多摩の山里の再開発に対抗する狸たちの物語が描かれています。その内容は、自然と人間の対立や現代社会の矛盾を痛烈に風刺した作品になっています。
この映画には、狸たちの会議の中で狸たちが美味しそうにハンバーガーを食べているシーンがあるのですが、なぜマクドナルドのハンバーガーなのでしょうか。やはり知名度があるから?
その理由を見ていきます。
平成狸合戦ぽんぽこ
ぽんぽこ懐かしいのでマクドナルドハンバーガー買いました。#平成狸合戦ぽんぽこ#ぽんぽこ#高畑勲#高畑勲監督追悼 #スタジオジブリ#マクドナルド#マクドナルドハンバーガー#ハンバーガー pic.twitter.com/Ls04jxEZyh— genki (@2619Genki) May 11, 2018
狸たちの会議のシーンで、人間たちを多摩から追い出すために、族長会議が開かれているのですが、議長が用意した「マクドナルドのハンバーガー」が登場し会議が無事終了しています。
「マクドナルドのハンバーガーがきわめて有効に働き・・・」
とあります。
昭和40年代を舞台にしている映画ですが、マクドナルドではなく、日本3大ハンバーガーチェンでもあるモスバーガーやロッテリアでは駄目だったのでしょうか。
日本3大ハンバーガーチェン
マクドナルドは、海外(アメリカ)から入ってきますが、1971年(昭和46年)に銀座に1号店がオープンしています。一時期は3000店舗を越えていた時代もあります。※大量生産
モスバーガーは、1972年(昭和47年)に東武東上線成増駅に一号店がオープンし、店舗数は1300店を越えマクドナルドに次ぐ第2位になっています。※注文生産
ロッテリアは、1972年(昭和47年)に高島屋日本橋店と松坂屋上野店にオープンし、店舗数は370店程です。※注文生産
店舗数ではマクドナルドがダントツですね。出店も昭和40年代と足並みを揃えています。
なぜを当時の時代背景から読み解きます。
平成狸合戦ぽんぽこは昭和40年代を舞台(多摩ニュータウンの開発)にした映画ですが、現在(当時1994年:平成6年)の日本を風刺した作品になっているようです。
タイトルにある平成は昭和ではなく平成の時代を風刺した作品になっているということですね。
映画放映当時、1994年(平成6年)の日本の経済状況は、バブルが弾けて数年経っていましたが、大量生産・大量消費・大量廃棄の時代に突入しています。
高畑勲監督はこの当時の平成の日本の事実を風刺した作品にしたかったと思われます。
この中でマクドナルドのハンバーガーを取り上げた理由は、急速に大量生産で伸びてきたことで、大量廃棄が行われる可能性を危惧したことで使われたと思われます。
当時、マクドナルドはアメリカから入ってきたものですが、製造方法などのマニュアルはアメリカのものを踏襲していたと思われる。
マクドナルドのハンバーガー製造方法である作り置きは、その時間帯の売り上げや客足などの予想を元に行うため、大半の場合は客を待たせず商品提供できる利点があった。その反面、味の劣化や、ハンバーガーを調理後10分で破棄する社内規定により、予測誤りによる食品廃棄などの問題が発生し、環境問題などで批判される原因になった。
実際にハンバーガーが登場するシーンでは、黒いポリ袋に入れられたハンバーガーが出てくるわけですから、大量廃棄への警鐘を表していると推測できます。
今現在も、恵方巻きなどの食品ロスは深刻な問題ですが、大量生産・大量消費・大量廃棄という負のスパラルを描くために一つの例としてマクドナルドのハンバーガーを用いたのではないでしょうか。
栄養ドリンクはリゲイン
「平成狸合戦ぽんぽこ」は環境問題啓発映画であり、ドキュメンタリーであり、ギャング映画であり、妖怪映画であり、青春映画であり、SF映画でもある、という・・いやあ、ほんとうにすごいです。お気に入りは「カラオケスナックで働くが、栄養ドリンク代のほうが高くついたメスダヌキの悲哀」。 pic.twitter.com/yM9VRw9KI5
— アトリエベルタ漫画堂 (@OLDIEBULL) April 11, 2018
映画「平成狸合戦ぽんぽこ」の中で、サラリーマン姿に扮する狸たちが、スナックや路上などで栄養ドリンクを飲んでいるシーンがありますが、どこのメーカーのものなのでしょうか。
タヌキ隈が現れた場合は、元の狸に戻ってしまいやすいため、変化を持続させなければならない場合には、栄養ドリンクを用いて体力回復を図る必要がある。
狸が栄養ドリンクを飲んでいるシーンはなぜか奇妙ですよね。栄養ドリンクを飲んでまで必死に頑張っている狸は可愛くも見え、惨めにも思えました。
これも当時の日本の時代背景を表していました。
サラリーマンのための栄養ドリンク
ユンケル:1967年(昭和42年)に発売され、当時はCMにタモリさんが起用されています。「疲れてるときにユンケルは良いよねぇ」と発言したところ、佐藤製薬からタモリ宛にユンケルが大量に贈られた。これをきっかけに、ユンケルシリーズのテレビCMにも出演するようになりました。
リゲイン:1988年(昭和63年)に発売され、当時はCMに時任三郎さんを起用し「24時間戦えますか」というキャッチフレーズと歌が流行っていましたね。
グロンサン:1960年(昭和35年)に発売され、当時はCMに高田純次さんを起用し「5時まで男/5時から男」のキャッチコピーは当時の流行語になっています。
舞台になる昭和40年代には、ユンケルとグロンサンはリリースされています。リゲインのリリースは昭和が終わることになりますが、放映当時には3商品とも知名度も上がってきているので、甲乙付けがたいですが、私はリゲインではないかと思います。
理由は、リゲインの歌とCMは、当時バブルの絶頂とその崩壊後の不況が慢性化した世の中を反映しているビジネスマンの奮闘を描いた作品(CM)になっているからです。
栄養ドリンクを飲む姿は、この当時の時代を象徴するシーンでもありますよね。サラリーマンは24時間フルで働く必要があるのか。現在の働き方改革につながる当時のサラリーマンを風刺したシーンの一つになっています。
まとめ
・マクドナルドのハンバーガーが登場した理由は、大量生産→大量消費→大量廃棄につながる可能性を危惧し、それを風刺するために使われていたと思われます。
・栄養ドリンクは、当時のサラリーマンの働き方を風刺するために、リゲインをモチーフに使われたと考えられます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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