映画「風立ちぬ」は、宮﨑駿の漫画を原作としていますが、実在の人物である堀越二郎をモデルにし、堀辰雄の小説「風立ちぬ」からも着想のヒントを得ています。
その中で登場するヒロインの菜穂子の最後は死んでしまったのか気になります。
また、菜穂子のモデルは矢野綾子なのか節子なのかも気になるので、その2つの真相に迫ります。
風立ちぬの菜穂子の最後の死因
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映画「風立ちぬ」は、飛行機の設計者である実在の人物でもある主人公の堀越二郎とその妻であるヒロインの菜穂子を中心に共に生きていく姿が描かれています。
まずは、物語について簡単にあらすじを見ていきます。
あらすじ
飛行機に憧れている堀越二郎は、夢に現れた飛行機の設計家・カプローニに励まされ、飛行機の設計者を目指します。関東大震災や大恐慌時代の極貧生活を乗り越え、菜穂子と再会し、結核であることを告げられるが、共に生きていくことを誓い結婚して、ともに困難と戦っていく物語です。
関東大震災や戦争など厳しい時代に生きた若者の物語なのですが、ヒロインの菜穂子は結核に冒されてしまうのですが、最後はどうなったのでしょうか。
菜穂子のシーン
持病の結核を治すと宣言した菜穂子でしたが病状は悪化し、ついには喀血してしまいます。そして、病気を治すために人里離れた病院に入院する事になりますが、戦闘機の開発に取り組んでいた二郎が見舞に行けないでいると、菜穂子は病院を抜け出して二郎のもとを訪れてしまいます。二郎は飛行機の開発を諦めるわけにはいかず、菜穂子と結婚して共に生きることを決意します。上司の黒川がささやかな結婚式をとり行い、黒川の家の離れを借りて、二人は結婚生活を送りはじめます。
二郎は寝る間も惜しんで開発に打ち込んおり、菜穂子は仕事をしている二郎が好きだと彼を励ましています。しかし菜穂子は日に日に弱っていき、衰えを悟られぬように隠れて頬紅をさすようになります。そして、飛行機が完成して試験飛行が行われる日の朝、菜穂子は二郎を見送ると、置き手紙を残して密やかに二郎の元を去っています。二人の面倒を見ていた上司の妻は、菜穂子は自分の美しい姿だけを二郎に見てもらいたかったのだろうと察しています。同じ頃、飛行場で試験飛行の成功を目にしていた二郎も、何かの虫の知らせを感じてハッとするのである。
やがて年月が流れて日本は焦土となります。再び夢に現れたカプローニ伯爵は、二郎が作った飛行機を褒め称えるが、二郎は彼の飛行機は一機も戻ることはなかったと打ちひしがれているところに、同じ夢の中で再会した菜穂子から「生きて」と語りかけられると、二郎は涙を流して何度もうなずき、「ありがとう、ありがとう」と繰り返すのです。
最後に菜穂子が姿を消してしまったのですが、その後、どうなったのかについては言及はされていないので、視聴者の判断に委ねられた印象がありますよね。
実際に、当時の医療では結核は「不治の病」と言われているほど重い病気なので助かる確率は非常に低かったと思われます。
最後に夢の中で登場して「生きて」と二郎に伝えたのは、私は、もうこの世にはいないけど、あなたは「生きて」と伝えたかったのではないでしょうか。
宮﨑駿監督は、死ぬ場面を描かずに意図的にキレイに終わろうとしたことも考えられますね。なので死を美化したようにも捉えることができます。判断が視聴者に委ねられるので心が掻き立てられるシーンで印象に残りました。
菜穂子のモデルは矢野綾子ではなくて節子
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映画「風立ちぬ」は、宮﨑駿の漫画のモデルである実在する堀越二郎が主人公で、堀辰雄の小説「風立ちぬ」からの着想が盛り込まれています。
映画では堀越二郎の妻は菜穂子なのですが実在するモデルがいたのでしょうか。
2つの作品が盛り込まれている映画で、少しややこしいので、どの妻がモデルなのかおさらいします。
堀越二郎の妻(堀越須磨子)
実在する人物である堀越二郎が物語の主人公になっているので、堀越二郎の妻の実在の人物である堀越須磨子が菜穂子のモデルなのかなと思ったのですが違います。
堀越須磨子は堀越二郎との間に6人子供を授かっているので、当時結核だったということは考えられません。
堀辰雄の妻(矢野綾子)
小説「風立ちぬ」の作者である堀辰雄自身も結核に苦しめられていました。
療養先の軽井沢で矢野綾子と出会い、堀辰雄の作品には矢野綾子をモデルにした作品が描かれています。
そして、矢野綾子と婚約しますが、矢野綾子も結核を患っていたため山里の高原療養所に2人で入院します。しかし先立たれています。
この体験が「風立ちぬ」のモデルになったと言われています。なので、菜穂子のモデルは矢野綾子なのでしょうか。
堀辰雄の小説の中身を見てみると。
堀辰雄の小説「風立ちぬ」
この小説は、美しい自然に囲まれた高原の風景の中で、結核に冒されている婚約者に付き添う「私」が、やがてくる愛する者の死を覚悟し見つめながら、2人の限られた日々を「生」を強く意識して共に生きる物語。
作中の「私=堀辰雄」の「婚約者・節子」のモデルは、堀辰雄と婚約した矢野綾子だと言われています。
またまたややこしいのでまとめます。
菜穂子のモデルまとめ
・堀辰雄の小説「風立ちぬ」では矢野綾子をモデルにした節子が描かれていてます。
・宮﨑駿の映画「風立ちぬ」の菜穂子は堀辰雄の小説「風立ちぬ」の節子をモデルにしています。
結論:映画「風立ちぬ」の菜穂子のモデルは節子。
どちらでも良いといえば良いのですが、モデルの名前を「菜穂子」に変えたのは、映画では、実在の人物である堀越二郎を主人公に描いているが、妻はオリジナルキャラクターとして設定させているからです。
※因みに、「菜穂子」という名前の由来は、堀辰雄の小説「菜穂子」からきているようです。
この「菜穂子」という小説は、ヒロインの「菜穂子」も同じく結核を患っていて、母親との葛藤、夫や男性との出会いを通して、力強く生きていく女性の物語です。
映画「風立ちぬ」の「菜穂子」と、小説「菜穂子」も結核を患っていていたこと、愛と生きた女性としての共通点が見られます。
なので、宮﨑駿監督は、堀辰雄の小説「風立ちぬ」と「菜穂子」からも着想のヒントを得ていることがわかります。
映画のポスターに込められた「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」の意味にも込められていると思います。
まとめ
・「風立ちぬ」の菜穂子の最後は描かれていないので、視聴者の判断に委ねれれているが、当時、結核は不治の病と言われているので死からは逃れられなかったこと、菜穂子が夢の中で最後に残した言葉からも読み取ることができると思われます。
・菜穂子のモデルは、堀辰雄の小説「風立ちぬ」の節子をモデルにしていると思われる。また、主人公の堀越二郎は実在の人物であるが、妻の菜穂子はオリジナルキャラクターという設定にしたのと、菜穂子の名前は、敬意を込めて、堀辰雄の小説「菜穂子」に因んでいる。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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