映画「風立ちぬ」は、実在の人物である堀越二郎を主役に描かれていますが、飛行機の開発中に、なぜ軽井沢に行くことになったのか気になります。
そして、そこでカストルプという謎のドイツ人に会うのですが、映画では、オリジナルキャラクターの設定になっていて、その正体が気になります。そこで気になる2つのポイントを深掘りします。
風立ちぬの堀越二郎が軽井沢にいた理由
麦わら帽子かぶって、かわいいワンピース着て、軽井沢あたり、もしくはめっちゃ綺麗な海の近くで、好きな人と2週間くらい滞在するの〜〜なんていう夏を毎年思い描くんですけど、いつになったら実現しますかね?軽井沢とは言わんからワンピースと麦わら帽子で海に行きたい、、#風立ちぬ pic.twitter.com/8n8ZvZOQOH
— 橋本 奈央 (@Mashn_ton) May 1, 2018
映画「風立ちぬ」では、堀越二郎は飛行機の開発に奮闘する中、結果を残すことができず、ドイツへ視察へ行き、帰国後に日本での開発を再開させるのですが、なかなかうまく行かずに軽井沢へいくことになります。
なぜ避暑地でもある軽井沢にいくことになったのでしょうか。
軽井沢の場面
東京の大学を卒業した二郎は、名古屋にある飛行機の開発会社に就職する。仕事に打ち込んだ彼は入社5年目にして海軍の戦闘機開発のチーフに大抜擢されるが、完成した飛行機は空中分解してしまう。飛行機開発において初の挫折を経験し意気消沈した二郎は避暑地のホテルで休養を取り、そこで思いかけずに菜穂子と再会する。
菜穂子と運命の再会を果たす軽井沢なのですが、偶然なのか必然なのでしょうか。
一般的に、考えられることは、会社や上司からの提案か、または自ら休暇を申し込んで、避暑地として有名な軽井沢を訪れて英気を養おうとしたと考えることができます。
しかし、この時代に軽井沢に休暇を取りに行くことや堀越二郎の真面目な性格から逃避行するようなことは少し考えづらいのですがどうなのでしょうか。
それは、堀辰雄の小説「風立ちぬ」の着想からヒントを得ていることに秘密が隠されているようです。
小説「風立ちぬ」は、堀辰雄と妻の矢野綾子をモデルに描かれている作品なのですが、宮﨑駿監督は、それをモチーフに映画を制作されています。
堀辰雄と矢野綾子が実際に軽井沢で出会い結婚し、共に結核と闘うという実話をもとに、映画「風立ちぬ」では、堀越二郎と菜穂子の出会いの場として軽井沢に落とし込んだのではないでしょうか。なので、物語の設定上、堀越二郎が軽井沢に訪れたのは必然なのです。
風立ちぬのカストルプの正体
クレソンつーと宮崎駿作品を真っ先に思い出すな。風立ちぬのカストルプ。ドイツ人と言いながらソ連のスパイでモデルがスパイ・ゾルゲのアイツ。RT pic.twitter.com/W7CteLSRQ3
— ラス力ノレ’19 (@rascalsa22c) March 25, 2019
映画「風立ちぬ」で登場するカストルプは、軽井沢に滞在するドイツ人として描かれています。クレソンをむしゃむしゃ食べるタバコが似合う紳士なのですが、はっきりしたモデルが明言されていないので謎のキャラクターになっています。
映画でのカストルプの容貌は、元ジブリの海外事業担当部長(声優担当)をモチーフに描かれていて架空のキャラクターになっています。
カストルプという名前はトーマス・マンの小説「魔の山」の主人公の名前が由来になっているようです。
※小説「魔の山」は菜穂子が患っていた結核が重要な題材になっている作品で、着想のヒントを得ているようですね。
堀越二郎と菜穂子の交際の立会人になるカストルプですが、ナチス・ドイツの政策を快く思っておらず、世界で孤立した日本の将来について、かなり悲観的な見通しを持って二郎に語りかけています。
ナチス・ドイツを批判したり、少し危険な匂いがするドイツ人のカストルプは、リヒャルト・ゾルゲという実際にいたソ連のスパイをモデルにしていると思われます。
リヒャルト・ゾルゲ
リヒャルト・ゾルゲは、ドイツ人とロシア人のハーフでソ連のスパイでした。ゾルゲは日本ではドイツ人になりすまし、ドイツ大使館で勤務していましたが、裏では、ソ連のスパイとして日本の秘密情報、軍事機密を洩らしていたようです。ドイツと日本の対ソ参戦の可能性などの調査に従事し、ゾルゲ事件の首謀者として日本を震撼させました。のちに、ゾルゲは特高警察に捕まり、1944年に死刑になりました。
のちに、堀越二郎が特高警察に追われる身になったことからも、スパイ容疑のカストルプ(ゾルゲ)と接触していたことが原因だったことが容易にうかがえます。
実際にゾルゲも軽井沢に滞在していた記録も残っているみたいです。
全くの架空の人物ではなく、実在の人物であるリヒャルト・ゾルゲをモデルに少し設定を変えて登場させたものだと思われます。
まとめ
・風立ちぬで堀越二郎が軽井沢にいた理由は、堀辰雄の小説「風立ちぬ」の着想をもとにしていることから、堀辰雄と妻の矢野綾子の出会いの場である軽井沢を堀越二郎と菜穂子の再会の場所に落とし込んだと思われます。
・カストルプの正体は、軽井沢にも実際に滞在していたソ連のスパイのリヒャルト・ゾルゲをモチーフに、少し設定を変えて登場させていると思われます。のちに、堀越二郎が特高警察に追われる身になったことで、うかがうことができます。
・軽井沢は、映画「風立ちぬ」の着想のモチーフになった堀辰雄と妻の矢野綾子との出会いの場であり、ソ連のスパイのゾルゲが滞在した場所でもあるので、舞台としては必然の場所だったようです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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